会長挨拶
2026年1月6日
公益社団法人東京社会福祉士会
岡野 範子
2023年から2年間の任期満了後、昨年6月に引き続き会長を拝命しました岡野範子でございます。本来であれば着任早々にご挨拶をすべきところ遅くなりましたことを、まずはお詫び申し上げます。
昨年の役員改選では、半数以上の理事が入れ替わりましたが、新体制発足後間もない8月初旬に、当会運営の要ともいえる事務局で中心的役割を担っていた事務局長が病気で急逝するという、とても悲しい出来事がございました。その日からの5か月間は、事務局職員や理事一同、この非常事態をなんとか乗り越えようと体制の再構築に懸命に取り組んでおりました。本日、新年の節目を迎え、改めて前を向いて進まなければとの思いに至り、前事務局長のご冥福を祈りながらご挨拶させていただきます。
1993年2月の設立時には66人だった本会の会員数は、現在4,584名(2025年11月30日現在)となり、全国の都道府県社会福祉士会の中でも群を抜いて大きな組織となりました。会員は、社会福祉士が必置とされる地域包括支援センターをはじめ、各種福祉施設・福祉事業所、行政、社会福祉協議会などの相談援助職、さらには独立型社会福祉士、専門職後見人、スクールソーシャルワーカー、刑事司法福祉ソーシャルワーカー、こども家庭ソーシャルワーカーなど、様々な領域で活躍しています。
現在、国が福祉施策において目指す「地域共生社会の実現」の理念が提唱されたのは、2016年6月に「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定されたときのことで、早いもので間もなく10年になります。福祉のニーズや課題は、時代とともに変遷していくものであり、その対象もかつての「一部の限られた人のため」から、今では「地域で生活するすべての人のため」へと変化してきました。社会福祉士は、こうした人々の生活課題に取り組み、一人ひとりのウェルビーイングを高め寄り添うミクロの支援をはじめ、地域におけるネットワーク形成やシステム構築等のメゾレベルの実践、制度や施策への関与・改革を促すマクロレベルの活動など、さまざまな構造に働きかけをするソーシャルワークの専門職です。
この10年を振り返りますと、2020年の社会福祉法改正では、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制の構築を目指し重曹的支援体制整備事業が創設され、専門職による対人支援アプローチや伴走型支援の実践が改めて重視されるようになりました。同じく2016年に閣議決定された「成年後見制度利用促進基本計画」は、2022年3月から第二期に入り、障害者権利条約批准を契機とする意思決定支援の概念を支援の中心手法に置き換え、クライエントを「保護の客体」ではなく「権利行使の主体」とする考え方を今後の共通基盤としたほか、地域連携ネットワークの一層の充実等を通して権利擁護支援を推進し、ひいては地域共生社会の実現を目指しています。2022年6月設置の「成年後見制度の在り方に関する研究会」では民法改正の検討が始まり、現在は法制審議会民法(成年後見等関係)部会の場に審議が移り、昨年6月には中間試案が発出されています。さらに「地域共生社会の在り方検討会議の中間とりまとめ(2025年5月)」では、地域共生社会の更なる展開のための包括的支援体制整備の対応・身寄りのない高齢者等や成年後見制度見直しへの対応方針が示されるなど、多岐にわたる議論が活発に進み、先月12月の社会保障審議会(福祉部会)では、日本の人口減少が局面を迎え65歳以上の人口がピークを迎える2040年に向けた各施策の方針について、報告書が発出されたばかりです。
このように、福祉分野におけるこの10年は「激動」であり、特にこの2、3年は非常に目まぐるしい潮流にあります。そして現在、福祉施策の推進において求められているのはソーシャルワークの機能そのものであり、ソーシャルワーク専門職の国家資格者である私たち社会福祉士は、これらの推進及び実践の中心に立つことを使命として受け止め、その役割を果たしていくことが大切と考えます。
当会は会員組織であり、公益を目的とする団体です。私たちは、「豊かな地域生活の実現のため、責任と誇りを持ちながら、ソーシャルワーク実践を通じてより添い、ともに悩み、育み、創り出すこと」を、法人理念としています。会員一人ひとりの力を結集し、実践力に基づいた調査研究や提言活動を通じて、職能団体の責務を果たすことを目指します。
そして会員は、協同して研修や各種事業を企画・運営し、互いに学び合うことを通じて自己研鑽に努め、各々のフィールドにおいては、倫理綱領・行動規範の遵守により高い職業倫理を保持しながら、活動を通じて培った力を実践に活かしています。
当会理事の任期は、定款上4期までの定めのため、私はこれが最後の2年となります。限られた時間の中ではありますが、前期で培った視座と学びを最大限に活かし、会員と共に職能団体の使命を果たしていけるよう、また、多くの社会福祉士有資格者に参加していただけるような魅力ある組織づくりを目指し、邁進してまいる所存です。ご支援、ご協力の程どうぞよろしくお願い申し上げます。
