組織強化のためのあり方検討会第Ⅰ期「役員選出を含む組織体制のあり方に関する提言書」に関する意見に対する回答

2023年3月
公益社団法人東京社会福祉士会
会長 新堀 季之

2022年12月19日から2023年2月28日までに会員の皆様から寄せられたコメントに対する回答を以下に示します。2名の方から複数のコメントをいただいております。貴重なご意見をお寄せ下さいまして誠にありがとうございました。今後の会の運営に活かしてまいります。

パブリックコメント1 その理由
ソーシャルワークを感じない組織観で語られている。 ① そもそも「あり方検討会」の委員が古参ばっかり。
② なぜ「理事の “なり手 ”が減少している」のか、把握しているのだろうか?
③ 「直近3回の改選では選挙が行われず、」・・・総会時の「信任」決議も、どこまで投票する会員が候補者を理解した上で信任しているのか疑問。
④ 一度、会員に福祉サービス第三者評価並みの「組織満足度」を問うてみては?
①(そもそも「あり方検討会」の委員が古参ばっかり)というご指摘について

組織のあり方検討会は、令和3年6月25日(役員改選の前日)、改選前の役員によって制定された設置要綱に基づき設置されたものであります。その趣旨は、改選前の役員が、日々の業務に忙殺され、組織問題に対し、基本に立ち返って検討する余裕がなかったとの反省から、次期の役員に対し、組織強化の諸課題につき、具体的なテーマを示した上で、基本に立ち返って検討することを付託したものと理解されます。
従って、設置要綱に示された具体的なテーマのそれぞれを検討するに当たっては、長年にわたり当会の運営に携わり、示されたテーマに関する問題の所在に精通している方々に参加していただくことが最もふさわしいと考えています。
ご指摘の趣旨が、組織のあり方につき若い人々の意見を聞いて検討すべきということであれば、令和3年6月25日付け設置要綱に基づく検討会とは異なる組織で新たなテーマを設定して行われることが適切と思われます。

②(なぜ「理事の”なりて”が減少しているか」のか、把握しているのだろうか?)というご指摘について

報告では、理事の“なりて”が減少しているという事実の記述にとどめていますが、検討の過程ではその原因について、おおよそ次のような論議が行われました。

  • 当会は、会員である社会福祉士が拠出する会費によって主として運営されており、その財政基盤はけしてゆとりのあるものではない。
  • 常勤職員はともかく、非常勤の理事に対してまで、活動に要した労働に見合う報酬を提供することは財政的に困難であると考えられおり、非常勤理事の活動はボランティア活動に近いものとして、交通費と低額な報酬のみが提供されている。
  • 現実問題として、業務執行理事として業務を誠実に執行するには多大な時間が求められ、提供される報酬は生計費を賄うのには、ほど遠い水準である。従って、業務執行理事の業務を執行するためには、一方で生計費を賄う手立てを講じつつ、他方で業務執行に要する多大な時間を捻出する努力と工夫に努めなければならない。
  • 理事候補者を推薦するにあたり、上述のような事情もあって、人材を確保するのは極めて困難な作業となっており、役員改選期毎にそのような困難な作業が繰り返されているのが、実態である。
  • この傾向は、本会に限らず、他の道府県社会福祉士会や東京精神保健福祉士会など財政基盤にゆとりのない福祉系専門職団体に共通してみられる傾向である。

③(「直近3回の改選では選挙が行われず」・・・「総会時の「信任」決議も、どこまで投票する会員が候補者を理解した上で信任しているか疑問。」とのご指摘について

〇公益社団法人改組後、5回の役員改選がありましたが、選挙が実施されたのは2回だけです。直近3回の改選では、会員理事推薦者が役員選出規則による定数最低限の8名に止まりましたので選挙が行われませんでした。のみならず、前回改選時には、立候補の締切日になっても会員理事候補者が会員理事定数の8名に達せず、再公示を行って立候補者を募ることとなりました。残念なことに、現在進行中の役員改選でも同様な事態となっています。

〇理事は、定款第17条第3項に定めるところに従い、会員総会において、候補者一人毎に決議を行い、出席者の過半数の賛成で選任されます。役員選任議案には、理事候補者毎に、候補者本人よる「会の活動歴と所信表明(立候補理由と会員理事として行いたいこと)」と推薦者による推薦理由が掲載され、審議の参考資料として提出されています。

④(一度、会員に福祉サービス第三者評価並みの「組織満足度」と問うてみては?)とのご指摘について

〇会員のニーズに即して会の運営が行われているかどうかは、日々の運営に当たり常に留意しなければならない課題であることはご指摘の通りであります。そうした観点からの建設的なご提言をお寄せいただきますことを期待しております。



パブリックコメント2-1 その理由
立候補理事とセンター推薦理事の定員比率についてセンター推薦理事の定員比率が多くなることに反対。 センター推薦事理は第一にセンターの代弁者であり、会全体のために、推薦元の部署に必要な対応ができるが疑問です。会員の民意を反映するのは選出理事であると思います。
自身の選挙で選出されることに拘りました。センター選出は内輪的で、多くの会員を巻き込んでいくには、弱いと思います。

〇公益社団法人改組が現在まで、5回の役員改選がありましたが、選挙が実施されたのは当初の2回だけで、その後の3回の改選では選挙は実施されませんでした。その理由は、立候補者が定員の上限を超えなかったためです。

〇選挙管理委員会が選挙の公示を行い受付を開始しても、立候補届出者が、定員の上限を大きく下回るという状況となり、締切が迫るとやむなく現任の理事がセンターや委員会等で活動されている会員に対し、立候補の依頼を行ってきたのが実態です。

〇前回の改選では、立候補者が理事候補者の定数の下限に達しないため、再公示を行い立候補受付の締切を延長することとなりました。残念ながら今回の改選でも同じ状況が発生しています。

〇センターから理事候補者を推薦することの狙いは、「センターの運営における顔の見える関係の中で、理事として相応しい会員を推挙してもらうこと」です。センター推薦は、センターの代弁者を選出するのではなく、センターが責任をもって会全体を考える力のある理事候補者を選出するために作られた制度です。各センターにおいて理事の推薦にかかわる検討が行われることは、参加する多くの会員が議論する機会となり、会運営への関心が高まることに繋がると考えます。

〇立候補理事とセンター推薦理事の定員比率に関しては、現行では、センター推薦理事枠が最大6名、立候補理事枠は最大5名で、センター推薦と立候補の比率は6:5です。提言の内容では、センター推薦と立候補の比率は2:3であり、立候補枠の比率のほうが大きくなっています。

〇理事一同、多くの会員が積極的に立候補されることを願っています。貴重なご意見をありがとうございました。



パブリックコメント2-2 その理由
常勤理事の設置の結論に至った経緯の詳細を教えてください。 常勤理事について、なぜ今議論すべきことなのか、説明が不十分です。常勤理事を設置することで、生活の糧としての常勤理事とならない方策について、教えて欲しいです。

〇常勤理事の設置については、公益社団法人設立当時に検討されましたが、報酬額の問題から見送りとなり、低額な報酬(1回の業務につき2000円)のみの非常勤理事のみとなった、という経緯があります。

〇公益社団法人設立後10年が経過し、組織体制のあり方を見直すという今回の検討会の第1回では、「理事が全員非常勤であるため、日常の重要事項の判断と初期的対応が、事務局長又は事務局に委ねられ、場合により大きなリスクとなることが想定される。また事務局担当理事には大きな負担が強いられる問題も起きている。」という課題提起が行われました。この提起を踏まえた論議の結果、常勤理事制度の設置が提言されたものと受け止めています。詳しくは、あり方検討委員会提言の提案理由と効果をご確認ください。

〇なお、リスクに備える意味で常勤理事制度を設けるとしても、実際に常勤理事を設置できるかどうかは、その時点での財政状況や、該当者の存否如何にもよりますので、毎年度の予算編成の段階で検討される問題になると思われます。

〇常勤理事の報酬は現在は未定ですが、事務局長と同等の業務量と考えられますので、職務に対する適正な対価の支払いという面からは、役員報酬が生活の糧になるのは当然だと考えます。
 ただ常勤理事という名称のみで職務を行わず、対価のみ支払うということはしない、ということがご意見の主旨と考えますと、当然に多くの理事業務を担うことが前提であることは言うまでもないことです。



パブリックコメント2-3 その理由
理事の立候補の具体的基準を定めることについて、基準を定めるなら、作成過程を公開し、必要に応じて会員から意見聴取をしてください。 理事としての適性の基準を定める過程には細心の注意と外部の目が必要と思います。現役理事が基準を定めることとなりますが、その時々に都合がいい基準が作られることがないように、作成過程を公開し、必要に応じ、会員に意見聴取をすることを求めます。

〇理事の立候補の具体的な基準の作成過程・議論の過程については、すでに議事録を公開しておりますので、ご確認ください。会員からのご意見については、今後も議事録の公開、パブリックコメントの受付など積極的に行っていくつもりです。ご意見ありがとうございました。



パブリックコメント2-4 その理由
今回の提言の作成のプロセスについて 新型コロナの状況下、福祉事務所や自立相談支援機関、社会福祉協議会等が疲弊困憊しているさなか、内輪の議論をしていたことに愕然しています。なぜ、この時期にこのような議論をしていたのかを明確して欲しいです。 東京社会福祉士会は新宿区と狛江市で事業を受託している。現場がどれだけ疲弊していたかを、理事全員は把握し認識していましたか?内輪の議論をしている余裕がどこにあったのでしょうか?現場の現状を踏まえ、都や国に必要な提言や申し入れや意見具申をしたのでしょうか?
現在、生活困窮者・生活保護部会と検討会が開催されていますが、社会福祉士の活用についての言及が殆どありません。会として事業を受託していることの強みが全く生かされていません。
会の存続・事務局運営の資金を得るための事業受託なら、撤退したほうがいいと思います。
組織率が低下し続ける状況も仕方ないのではと諦め感があります。
組織率低下に危機感を強く抱いた私の思いに賛同してくださった方々と取り組んだことが、無にならないように、取り組んで頂きたいと切に願っています。

〇組織強化のためのあり方検討会は、公益社団法人設立後10年を前に、法人組織体制のあり方、職能団体としての各センターの体制や活動展開のあり方、収支バランスなどの課題について検討を行うことを目的に、2021年度の事業計画の中で設置が決定されたものです。あり方検討会に対しては、学識経験者を含む構成員によって、将来を見据えた会の組織体制や活動の進め方の検討を期待しており、当面する諸課題への対応については、現執行部が取り組んでいます。

〇受託事業については、正副会長はじめソーシャルワーク事業協働センター担当理事、業務執行理事とも現場状況を理解し、適宜給与規程等の改正を行い、一時金を支払うとともに、定期昇給の仕組みつくりなども行ってきました。理事会でも大変な状況を伝え上記改正などを可決しています。会員理事の多くは自らも社会福祉の現場で当然混乱状況にあったため、自分事としてコロナ禍での大変さを実感していたことは言うまでもありません。

〇都や国に対する提言や申し入れ、意見具申については、生活困窮のみならず他の分野においてもできていないことはご意見のとおりです。現状の多大な理事業務の中で提言等ができていないことはまさしく課題と認識しており、今後は提言等をまとめていくための体制整備と理事を含む運営スタッフの充実が必須と考えています。

〇あり方検討委員会第Ⅱ期では受託事業について検討されています。運営資金の確保という側面だけでなく多様な側面から、存続ありき、ではない提言をいただきました。現執行部としても、資金確保だけの面から事業継続を決することについてはありえないと考えています。ご意見のように、先進的・公益的・他で対応ができない事業を受託していくことこそ、公益社団法人東京社会福祉士会の責務と考えております。会の基本姿勢をご理解いただいた貴重なご意見と受け止めています。ありがとうございました。

 
以上